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…そのあと、何かの糸が切れたように
ぶわわぁぁと、まるで滝のような涙を流した〝猫〟
コク、コクと何度も頷き
次々と流れ出る涙を止めるように、ゴシゴシと袖で頬を擦っている。
「お前は…泣いてばっかだな」
その涙は嬉し涙
そう思うと、俺の口角も上がってしまい、顔が自然と緩んだ。
あまりにも涙が止まらないものだから、
そんなに擦ったら赤くなるぞ、と腕を掴めば
目をぎゅっと瞑ったまま、〝猫〟はゆっくりと口を開いた。
「なまえ…さが…ら、に…ぃあっ」
…名前?
ああ…そういえば、まだこいつの名前を聞いていなかった。
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