第1話

19/41
前へ
/64ページ
次へ
…そのあと、何かの糸が切れたように ぶわわぁぁと、まるで滝のような涙を流した〝猫〟 コク、コクと何度も頷き 次々と流れ出る涙を止めるように、ゴシゴシと袖で頬を擦っている。 「お前は…泣いてばっかだな」 その涙は嬉し涙 そう思うと、俺の口角も上がってしまい、顔が自然と緩んだ。 あまりにも涙が止まらないものだから、 そんなに擦ったら赤くなるぞ、と腕を掴めば 目をぎゅっと瞑ったまま、〝猫〟はゆっくりと口を開いた。 「なまえ…さが…ら、に…ぃあっ」 …名前? ああ…そういえば、まだこいつの名前を聞いていなかった。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加