第1話

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ーーーー 「…お前、腹減ってんのか」 12月24日。クリスマスイブ 街が恋人同士で溢れる中、店の裏にあるゴミ置き場で見つけた…小さな塊。 「……」 そいつは、ゴミ置き場にあったと思われる廃棄の弁当を、大事そうに胸に抱えていた。 薄汚れた黒いパーカーに、冬場だというのに半ズボン。 髪もボサボサで、長い前髪。出ている肌は、透き通るように白かった。 寒さのせいか、俺に見つかった恐怖か…その身体はふるふると震えている。 「…来い」 そんな〝猫〟が、なんとなく気になって、思わず手を伸ばす。
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