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「俺は今、とても困っている。」
少し思案したあと、俺は再度口を開いた。
「実は今日、恋人に振られてな。クリスマスイブだからって、料理をたくさん作って待っていたんだが…その料理が無駄になりそうなんだ。」
ゆっくりと、頭の中で考えた嘘の話をペラペラと話し出す。
「俺は失恋の痛手で、食事に手が付きそうにない。だからと言って…せっかく作った料理を棄てるなんて、できない。…これでも一応、昔は料理人だったからな」
ピクッと〝猫〟の瞳が、僅かに揺れた。
…よし、もうちょっとだ。
「別にお前を捕まえて、警察に突き出してどうこうしようって訳じゃない。…俺の言いたいこと、分かるか?」
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