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花村くんって顔はイケメンでも中身は最悪だ。
「おい、冗談だからそんな怒るなよ」
ふてくされてるのが分かったのか笑いながそう言う。
「ほら行くぞ」
花村くんは立ち上がり、私の右手を掴んで歩き出した。
「ちょっと、どこ行くの?」
「どこって教室行くんだろ」
「えっ」
「まあ、可愛さは100点じゃなかったけど、平均的よりは可愛かったしね。だから約束通り、教室に行ってやるよ」
「平均的よりってなによー」
上からの目線の花村くんの言葉でも、正直すごく嬉しかった。
「あれ、なんかさっきより顔赤くねー?」
「気のせいだよ!」
顔を覗き見てくる花村くんから顔を逸らす私。
「まあ、いいか。よし、ささっと教室行こうぜ棗」
「えっ、あっ、うん」
突然下の名前で呼ばれ、焦って返事が上手くできなかった。
あー、なんでさっきまで最悪の奴って思ってた花村くんにこんなドキドキしてるのよ!
きっと私が男子との免疫が少ないだけか。いや、絶対そうだ!
私は自分にそう言い聞かせるようにした。
きっとこの日から私は花村くんを意識し始めたんだと思う。
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