第二章

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「え、何? まさか、カミって狼のカミとか言う!?」 目の前にいるのは、どこからどう見ても野性味あふれまくりな獣姿の狼だ。 人の倍以上ある体格で、その上しゃべる。 強固な外面を持つヨシュアも唖然として、どうでもいい名前なんかにツッコミを入れてしまった。 「言っておくが、俺のカミは神様のカミだからな」 どうでもいいと思うヨシュアに反し、当の狼はこだわって否定した。 「狼のカミでいいだろ。少なくとも、私はそのつもりだ」 しかし、レスターもどうでもよさげに口を挟んだ。 「おい、狼のカミって単純すぎるだろう。だいたい、さっきの犬っころって紹介はなんだ!」 「犬だろうが狼だろうが、獣に変わりはない。どっちでもいいだろう」 「大きく違う! 何より、俺は神様のカミだと言ってるんだ。俺のおかげで平和を保っているんだから、少しは敬ってみろ」 「はあ!? だったら、立場が逆だ。私達のおかげで、のんきな山神ライフを送っていられるんだろう。そこの酒だって、貢いでやる王族がいるから呑めるんだ。そっちが頭を下げて感謝すべきじゃないのか」 この会話で、小川の水以外に漂う匂いが判明した。 カミの横たわる岩のくぼみに、なみなみと注がれているのがそれだろう。 酒呑みの山犬、もとい狼がいる。 神様だと思えば酒好きも頷けるが、ふさふさの毛並み姿を目の当たりにしては、なんとも複雑な心境だ。
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