第二章

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脳内大混乱のヨシュアに構わず、人間(女王巫女)VS狼(神様) の様相は白熱していく。 カミはすっかり毛を逆立て、言い返す言葉に腹の底まで響いてくる唸りが混じり出している。 口が開く度に尖った牙が鋭く光り、自分に向けられているわけじゃなくても、ぞくりと身の危険を感じる。 それなのに、相対するレスターはガンガン言い返して引けをとらない。 どころか、言い合いにおいては優勢なくらいだ。 実に恐ろしい女性である。 「カミ、やめて。お願いだから」 一触即発の緊迫を破ったのは、体を張ったティアラだった。 迫力の形相で唸るカミの首根っこに抱きついて止めに入ったのだ。 「わかった。他でもない、ティアラが言うのなら引いてやろう」 途端に声音が甘くなり、ティアラに優しく頬ずりをする。 「ところで、ティアラ。あのちんちくりんは誰だ」 ちんちくりん……認めたくないが、間違いなくヨシュアを指していた。 バカでかい狼様から見れば、人間なんてどれもちんちくりんに決まっている。
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