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「ああ、そうだ。やかましい獣につられて、危うく本来の目的を忘れるとこだったな。忙しい私が、自ら紹介しにきてやったんだ。しっかり、己との違いを思い知れ。これがスメラギ・ヨシュアだ。聞いている通り、ティアラの婚約者だ。いい男だろう」
レスターは見せつけるようにヨシュアの肩を抱いた。
ぞわりと鳥肌が立つ。
触られておぞましく感じたからではなく、レスターとカミの争いに放り込まれた玩具の気分で、恐怖心によってぞくぞくする。
「ふん、それのどこがいい男なんだ。お前の見る目も曇ったものだな」
「獣の分際で何がわかる。ヨシュアは顔だけじゃなく、繊細な女心を理解している。野暮で鈍いお前とは根本から違うんだ。わかったら、ティアラみたいな子どもに手を出すのはやめろ」
「はっ、ティアラが子ども? お前がそれを言うのか」
「うるさい! 余計な事を言うなら、すぐに剥製にしてやるからな。とにかく、今すぐティアラを離せ!!」
「いいや、離さない。ティアラは俺の子を生んで家族になるんだからな」
火の粉が飛んでこないか冷や冷やしていたヨシュアは、奇妙な発言に耳を疑った。
「俺の子って……」
妙な想像に走りそうになって、慌てて頭を振る。
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