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「黙れ、ケダモノ!!」
ブンと、持っていた松明を容赦なく投げつけた。
カミは余裕で叩き落とし、下を流れる小川で明かりが消えた。
「私の目が届く内は、誰にも手を出させないからね。ティアラ、戻るよ」
言い捨てたレスターは、ヨシュアの手を引いてさっさと歩き出した。
通路に入れば松明のなくなったヨシュアの視界は真っ暗で、時折金色に光るレスターの瞳だけがちらついて見える。
ティアラもそうだったが、狼の血の影響なのだろうか。
足早なリズムのヒールが高らかに響き、ヨシュアを捕まえている手は汗ばみながらも冷えている。
「レスターさん、もしかして……」
「ティアラに余計な事を言ったら絞めるよ」
「……」
ヨシュアはつくづく、やっかいに巻き込まれたものだと思った。
* * *
「あー、ムカつく!」
部屋に戻るなり、レスターは髪をぐしゃぐしゃにして爆発していた。
「こういう時は、美味しい物を食べるに限る。あんた達、おごってあげるから付き合いなさい」
素早く髪をまとめ直すと、上着を羽織って出ていってしまった。
ヨシュアとティアラは顔を見合わせ、まだ解放されないのだと確認する。
この時、一瞬だけ、同じ被害者という認識でわかり合えた二人だった。
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