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「こうなったら、全部教えてくれよ。あいつが言ってた、その……お前と家族になるとかってのは本気なのか?」
「本気だと思う。……あのね、私がカミと最初に会ったのは夢の中なの」
「夢?」
「そう。七年前くらいかな。両親を事故で亡くしたばかりの頃。夢の中でも泣いていた私の所にカミが来てくれたの。夢の中のカミは人間の姿で、すごく優しくて、ずっと側にいてくれて、すぐに打ち解けられた。それで、夢の中でしか会えないのは淋しいって言ったら、カミは秘密の通路を教えてくれたの」
「あんな毛むくじゃらの正体を見て、なんとも思わなかったわけ?」
「ビックリしたけど、言葉も通じるし、優しい目が同じだったから。それに、ふさふさで可愛いと思うんだけどな」
あれを可愛いと言えるのはティアラくらいだろう。
「なら、お互いにその気があるんだな」
「それは……」
てっきり無邪気に頷くと思っていたのに、ためらいがあった。
「まあ、相手は狼だからな」
「ううん、それは問題じゃなくて」
「俺には、他に何が問題なのかわかんないんだけど」
ティアラは言いづらそうに見上げてくる。
「私はね、結構本気でカミと結婚するって約束したの。叔母様の言った通り、子どもだったのもあるんだけど。でも、それも本当には関係なくて、カミが本気で好きなのはレスター叔母様だから」
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