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「レスターさんが、じゃなくて?」
ヨシュアは、つい、余計な事を言ってしまった。
「叔母様が? あんなに嫌っているのに?」
「あー……いや、カミがレスターさんに気があるって、どうしてそう思うんだ?」
「うん、あんまり教えてくれないんだけど、私と出会う前は叔母様と夢で会ってたみたいだから。それに、私が叔母様の話をすると嬉しそうなの。だけど、レスター叔母様はいつもあんな感じで、会うのも嫌だって邪険にしてるでしょ。私の結婚話が進んだら、何か変わるんじゃないかって考えてたんだけど、難しいみたい」
上手くいくどころか、最悪の状況になっちゃったというわけだ。
「なんとなく状況は理解した。ティアラが、少しは考えていた事もわかった」
「ヨシュアはどうしたらいいと思う?」
答えは決まっていた。
「どうもしない。人の色恋沙汰に関わるつもりはないから。そんな事より、なんとかしてレスターさんのとこで働けるようにしないと」
十七年の人生で初めて射した光を、狼相手の好いた惚れたの問題で無しにされるなんて堪ったものじゃない。
どうやって交渉しようか思案していると、妙な視線を送ってくるティアラに気が付いた。
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