17人が本棚に入れています
本棚に追加
貴方のことが、大好きで。
大好きで、大好きで、大好きで。
…だから…
ただの友達、みたいな
なんでも話せない間柄にはなりたくないよ…
***************
「…真琴。まーこーと。」
「…ん…ん…?」
「朝だよ。ホラ、起きな。」
「…あと…5分…」
「遅刻しても知らないからな。」
声の主、悟(さとる)は起きない僕にため息をついてから、寝室を出て行った。
寝室から悟がいなくなってから、僕はむくりと起き上がる。
…ごめん。
実は、もう目は覚めてるんだ。
僕が着替え終わって食卓に向かうときには、悟はジャージ姿だった。
「あれ…今日早いんだ。試合?」
「違うよ。コーチが朝練しろって。」
悟は、駆け出しだけれど、プロのテニスプレーヤーだ。
高校の時から上手だったけれど、まさかここまで成長するなんて。
「そっか。頑張って。」
「お前もな、真琴。今日会議って言ってたじゃないか。間に合うのか?」
「いつも、悟のおかげで無遅刻だよ。」
対する僕は、普通のサラリーマン。
「朝ごはん、ちゃんと食えよ。あ、あと、弁当も作っといたから。」
「え…?朝早くから…?」
「俺の分のついで。じゃ、行ってきます。」
僕のおでこに優しく口づけして、部屋を出て行った。
「…悟…」
雲泥の差だ。
僕と悟は、住む世界が違う。
高校の時もそうだった。
悟はクラスの人気者で。イケメンで。
対する僕は、平凡な、なんのとりえもない男で。
なのに、いつの間にか仲良くなって。
大学まで同じで。
一緒に住むようになって。
友達、というポジションが
いつの間にか、恋人に代わった。
遠かった存在が一気に近くなった。
そう感じた。
とても大切にしてくれて。
とても優しく抱いてくれて。
ずっとこのままいられると思っていた。
…のに。
僕は見つけてしまった。
戸棚に、アメリカの練習環境についてや、向こうのマンションについて書かれている資料を。
そりゃぁ、向こうの環境で練習するのはとてもいいことだと思うし、僕はむしろ賛成したい。
頑張ってと、背中を押してやりたい。
…でも。
最初のコメントを投稿しよう!