Just Be Friends

4/4
前へ
/6ページ
次へ
「僕もだよ!」 でも、僕はそれに負けないくらい大きな声をあげていた。 「…僕も…悟を愛してる…だから…重荷になんて、なりたくない…気を遣わせたくない…」 「重荷になんて、なってねぇよ…気を遣ってなんか…」 「でも、相談してくれなかったじゃないか!…行きたい、とも、悩んでる、とも言わずに…親友だったときは、何でも…相談してくれたじゃないか…」 我慢できずに、僕はぽろぽろと涙を流した。 「相談にものれない、悟の夢の邪魔をするくらいなら、僕は悟と別れる…親友に戻れば…相談に…」 「ッ、馬鹿じゃないのか?!」 立ち上がった悟が僕を椅子から立たせ、そのまま力一杯抱きしめてきた。 SEXの時みたいな熱い体温が、冷えた僕を包み込む。 「…そんなこと思ってくれているのに…なんで別れるなんて選択肢出したんだよ…言わなかったのは悪かった…でも、真琴にまで背負わせたくなかったんだよ…お前のこと、大切だし…」 「…ほら、そうやって遠慮するじゃん。これじゃ…恋人なのに…悟と対等でいられないよ…」 「…そうやって、お互いに気持ちぶつけ合うなら、対等だろ?」 子供みたいに泣きじゃくる僕を、悟は優しく撫でた。 悟の熱で、僕の身体も心も溶けていく。 「…コップ、新しいお揃いのやつ、買おうな。」 *************** 空港。 僕はアメリカに向かう悟を見送りに行った。 「…真琴。何度も言うけど、お前と別れたわけじゃないから。」 出国審査前エリアを目の前に、悟は真剣な表情で僕にそう言った。 彼の荷物には、新しくお揃いで買ったコップの片割れが入っている。 「お前を守れるくらい大きくなって帰ってくる。迎えに行ってやるから、覚悟しとけよ。」 「…うん。向こうついたら連絡して。…いっぱい相談にのってあげるよ。」 「じゃ…いってきます。」 「…いってらっしゃい。」 距離を置けば、ただの友達になってしまうかもしれない。 …でも、いっぱいお互いのことを話して、それを聞いてあげれば、遠くたって悟を近くに感じることができるから。 そう、信じてるから。 …僕だって、悟が驚くくらい、しっかりした人間になってみせるよ。 振り向かずに前に進む愛する人の背中に、 僕は小さく呟いた。 Fin.
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加