入学式で初めて喋った人が普通の人とは限らない。

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「え…っと、く、紅葉嬢?一体何を…」 耳鳴りが聞こえそうな程無音になっている中、雷山が戸惑いながらそう言ってくる。 むしろこいつは何を見て俺が女の子だと錯覚していたんだろう。 「いや、何をって…俺は女の子じゃないから嬢呼びはおかしいんじゃって」 「なっ…!つまり紅葉嬢は男の子と言うことかい…?」 当たり前でしょ。君は何を言ってるんだ。どっからどう見てもイケメンボーイだよ。 なんて心の中で自分をべた褒めしていると、静まり返っていた周りの新入生達もザワザワしながら俺の事を喋ってるようだ。 「え、嘘…。あのセミロングの子男の子なの!?」 「マジかよ…俺ちょっと一目惚れしそうだったのに」 「俺はもうあの子が男の子でもいいかな…」 ある程度聞いてみたけどさ、皆失礼過ぎない?てか一人ホモが居るじゃんか。こら、横の女の子カップリングがどうとか言わない。 「まさか…こんなことが…この俺が…皆に見られてるのに…」 ほらほら、皆がザワザワしながらこっちみて話してるから、雷山が顔を赤らめながらブツブツ言ってるじゃんか。 雷山もブツブツ言いながらこっち見ないで。怖い。凄く怖い。 「ら、雷山…?と、とりあえず体育館に移動しない?なんか皆こっち見て悪目立ちしちゃってるし」 「そ、そうだね紅葉嬢…いや、紅葉君」 とりあえず一秒でも早くここから離れるのが先決だと思う。これから学園生活が始まるのに変な噂が流れたら俺も雷山もたまったもんじゃないしね。
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