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まぁそんな事を気にしてても気のせいかも知れないしね。とりあえず座らないとだ。
「じゃあ雷山は俺の横だよ!ほらここ!」
すっと席に座って横の席をぽんぽんと叩いてあげると、雷山が遠慮がちに座ってくる。
「あー、ありがとな…その、紅葉君…」
…なんか歯切れ悪いなぁ。それにやっぱり喋り方に違和感が。なにこの人。
疑問に思った事を聞こうか迷ってる間に雷山から声がかかる。
「紅葉君、さっきはその…失礼な事を言って悪かった…まさか男だとは思わなくて…」
なんだ、そんな事を気にしてたのか。俺は別に気にしてないのに。と言うよりそんな事よりもっと気になることがあるんだけど。
「いや、それはもう全然良いんだけどさ…。なんかさっきとキャラが違うような…」
もう僕はバリバリの貴族ですよっ!って感じの喋り方や仕草だったけど。
「あー、それな…」
また雷山は歯切りを悪くし、軽く頬を指でかきながら続けて言う。
「まぁ、わかってると思うけど、ウチ貴族なんだけどさ。周りの貴族から貴族らしくするべきって結構言われててな」
あー、成る程。さっきまでのは全部演技だったのか。
「成る程ねー。じゃあ雷山は貴族の権力でどうこうしたいってこと?」
軽くからかいを込めた感じでそう言うと、慌てるようにすぐに返事を返してくる。
「いや、そう言う訳じゃないんだ!」
「わかってるよ、冗談。冗談だよ」
笑いながら言うと、安心したのか雷山は胸を少し撫で下していた。
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