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「あ、やっと来た…他の人もう移動しちゃったよ?」
やっぱりこの女の子俺たちのこと待っててくれたのか。
悪いことしたなぁ。
「待っててくれてありがとー!じゃあクラスの方に移動しよっか」
俺が会釈をして歩き出そうとすると、彼女は目をパチクリした後に声を出す。
「え…っと、あっちの人は…?」
どうやら彼女は拓海のことを見て言っているようだ。
しかし、残念ながら拓海は未だに悶え苦しみながら、天然女性の裏の怖さについて一人で語っている最中みたいだ。
「なんか忙しいみたいだし、邪魔するのもなんだし先に行っちゃっても大丈夫だよ」
「…そ、そだね!」
俺が言わんとすることを理解したのか、はたまた拓海の独り言の内容を聞いてしまったからか。
彼女はもう止まるという選択肢は頭の中から除外したようだ。良かった、こんな子が拓海の毒牙(女たらし)にかからなくて。
それから特に会話を挟むわけでもなく、お互い無言で歩いていると、少し前を歩いていた彼女が歩みを止める。
「ここが私たちのクラスみたいだね!」
どうやらクラスに到着したみたいだ。結構距離があって沈黙が辛かったよ。
「じゃあ私はそろそろ友達の所に戻るね!次はなるべく置いてかれないようにねっ!紅葉君!」
そう言うと彼女は一足先に教室の中に入っていく。改めてお礼を言おうとしたけどタイミング無くしちゃった。まぁこれから同じクラスなんだからいつでも言えるか。
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