プロローグ

2/6
前へ
/26ページ
次へ
朝、一定のリズムで鳴る電子音で目が覚めた。 非常に重たい瞼を擦りながら、覚醒しきってない脳みそが、これ起きろ起きろと信号を送ってくる。 低血圧気味な俺はたっぷりと五分ほど使って、ようやくベッドから這いずり出てアラームを止める。 「…ふぁっ……もう朝かぁ。全然寝足りない」 軽く欠伸をしながら、入学式が楽しみすぎて全く寝付けなかった昨日のことを思い出す。これじゃあまるで遠足を楽しみにして寝れない小学生と一緒じゃないか。 身体を伸ばしながら少し覚醒してきた思考で、昨日の自分を恥ずかしく思いながら、毎日律儀にやってくる朝に呪いの言葉を考えつつ着替えを取る。 「ととっ。今日からこっちの制服じゃないんだっけか」 間違えて取ってしまった中学の制服をクローゼットに戻して、今日から高校生なんだと実感しながら新しい制服に袖を通す。 と、言っても中学の時もブレザーだっただけに違いが殆どないんだけどね。強いて言うならセーターの色が灰色から紺色に変わったくらいだろうか。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加