入学式で初めて喋った人が普通の人とは限らない。

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「じゃあ一番後ろのあそこにしようぜ!丁度二つ空いてるし」 拓海が指を指したところは窓際から二つ目と三つ目の席みたいだ。 なるほど、こいつ多分寝る気満々だな。ほとんど初対面同然だけどなんとなくわかってきた。 「…言っとくけど、ノートは等価交換だからね?」 「え!?な、なんのことだよ!」 あははは、と乾いた笑いを浮かべる辺り、どうやら最初から見せてもらう気だったらしい。 しかし、残念だけどタダで見せてあげる程紅葉君も甘くないんだよなー。 にっしっし。と内心ほくそ笑みながら拓海と空いてる席の方へ歩を進める。 そして席に到着し、この教室に入って幾度か辺りを見渡した時からずっと気になっていた窓際の一番後ろに座っていた存在。もとい人物に挨拶をする。 「や、お隣さんだね。俺は西条 紅葉。よろしくね」 俺の言葉を聞いてから数瞬経ってから、その人は此方をそっと見た。どうやら自分に向けられた言葉だと気付いてくれたみたいで良かった。 拓海も自分が挨拶するべきか迷ってる間に件の人物から挨拶の様なものが返ってくる。 それは首を軽く下げる会釈の様なものだった。
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