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「あら、ちゃんと起きてきたのね紅葉(くれは)」
「おはよ。流石に今日くらいは起きるよ、母さん」
お皿に料理を盛り付けながら奈央と談笑していた我が西条(さいじょう)一家の母が、俺に気付いて話しかけてくるのに適当に返しながら自分の椅子に座る。因みに父さんは何かの研究員をしているらしく、たまにしか帰ってこない。
「そうね、今日から高校生だもんね」なんて話をしながら、朝食として置かれていたスクランブルエッグとトーストを齧る。
こういう会話をすると自分が高校生になる実感が凄く湧いてくる。
「そういえばおにいちゃんは部活とかに入るの?」
部活か…全然考えてなかったな。
高校生ならやっぱり何かしら入るべきなんだろうか…え、わかんない。
なんて自問自答をしている辺り部活に興味なんてないんだけどね。
「いや、特に部活に入る予定はないかなぁ。もしかしたら面白そうなのあったら入るかもだけど」
「ふーん」と色々考えてる奈央を尻目に残りの朝食を食道に流し込む。
「ご馳走様。ちょっと早いけど、そろそろ行ってくるよ」
「おにいちゃん、ホントに奈央が入学式付いていかなくてもいいの?大丈夫?」
お前は兄をなんだと思ってるんだ…。全く、兄離れ出来てない可愛い妹を持つと苦労するよ。可愛いからいいけど。
「なにを心配してるのか知らないけど、奈央は自分の事を心配しなさい。今年受験生なんだから」
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