プロローグ

5/6
前へ
/26ページ
次へ
そう、奈央も今年は受験生なんだ。 本人は「おにいちゃんと同じ学園に行く!」と、元気良く言ってはいるけど心配だ。 自分で言うのもなんだけれど、俺が入学する学園はこの王立でも一、二を争うくらいには上位だ。 まぁ、上位と言っても、魔法学園の中では…と言うことだけど。 魔法学園とは普通科の高校等とは違い、魔法系統を重視している学校のことだ。勿論試験にはペーパーテストなんかもあるけど、基本的には魔法系統の実技テストが多い。 俺は特別頭が良いわけじゃないけど、魔法は割と得意だったからなんとか入学出来たって感じだったけど。 「ふふん、私だっておにいちゃんの妹ですからねっ!魔法は勿論、勉強だってそこそこ出来るんだよ」 な、ナンダッテー。兄より優れた妹などいねぇ!! なんて言ってはみるけどやっぱり心配だ。 「奈央は基本は確かに凄いけど、戦闘テストもあるんだぞ?」 「うぐっ…。戦闘テストは自信ないかも」 そう、テストの中には単純な戦闘力を測るテストもある。 奈央は魔力のコントロールや、魔法の構築なんかは基礎が出来てるだけに上手い。けど、実際にそれを戦闘に生かし切れてるかと言えばそうじゃない。 それに肉弾戦もあまり得意じゃない奈央からしたらかなり厳しいテストにはなるだろうな。 「まぁ今からでもまだ間に合うでしょ。俺が暇な時は教えてあげるから頑張ろう!」 「うぅ、おにいちゃん…。だいすきぃいいっ!」 潤んだ瞳で抱きついて来る奈央をあざといと感じながら、兄妹おそろいのアホ毛を撫でる。 俺も妹離れ出来てないなぁと実感してしまった瞬間だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加