入学式で初めて喋った人が普通の人とは限らない。

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「あぁ…今日からこの学園の生徒かぁ」 家族団欒から時は過ぎて学園前。あまりの規模の大きさに驚愕しながらそんな声を思わず漏らしてしまう。 一度受験の為に来たことはあるけど、改めて見てもやっぱり規格外の広さだ。イミワカンナイ。 そもそも校舎が可笑しい。なんでお城みたいな形状してるの?某ネズミ王国のお城なの?ははっ? と、現実逃避気味に思考の世界に逃げている最中にふと、人混みが出来ていることに気付き目で追いかけてしまう。 「これから入学式が始まります!新入生の皆さんは自分のクラスを確認したら、体育館の中に入ってクラス毎の所定の席に着いてください!」 はーん、なるほど。自分のクラスが書いてる張り紙に皆集まってるのか。てかあの先生っぽい人揉みくちゃにされて可哀想。 まぁ先生はなんとかなるとして、俺も早く見に行って席に座ろうかな。 「はぁ、これだから庶民は。これじゃあまるで餌に釣られてる鯉の様だ…。君もそう思うだろう?」 一歩。如何にあの人混みの中に足を踏み入れようかと思案している矢先に右後方から声がかかる。 多分だけれども俺に向けられたセリフだと思う。違ってたら相当恥ずかしい子になっちゃうけどね。 返事に困っていると、無言の肯定と取られたのか続け様に声をかけてくる。 「可憐な君があの様な場所に立ち入るべきではない。僕が代わりに見てあげるから名前を教えてくれ」 何故だろう。鳥肌が止まらない。 どうすればいいのかわからない。とりあえず差し当たりの無いように名前だけ名乗っておこうかな。 「西条…紅葉です」
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