入学式で初めて喋った人が普通の人とは限らない。

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「紅葉か…素晴らしくキュートな名前だ。そんな愛らしい名前を付けてくれた君の両親に感謝をしなければいけないな」 鼻に付くセリフをこんなにもいけしゃあしゃあと訳がわからない。なんなんだこいつは、ホモなのか。 俺が困惑しているのに気付いたのか、前に回り込んできて初めて目が合う。 「おっと、失礼。申し遅れた。僕は雷山(らいざん)拓海(たくみ)だ。少し待っていてくれたまえ」 一礼をして名を名乗り、パチリと片目を閉じると少年こと雷山は張り紙のある場所へ歩いていく。その時俺は気付いた。あいつ貴族だ。 あの独特な高圧的な喋り方、小洒落た振る舞い。あれはどっからどうみても貴族のそれだ。 そしてそんなどうでもいいことより、なにより、あいつ俺を女の子と勘違いしてる。 なんだ最後のウィンクは!!気持ち悪すぎるでしょ!!寒気が止まらない…。 落ち着け…落ち着いて朝の出来事を思い出せ。 「やぁ、待たせてしまったね」 朝の奈央のあざとウィンクを思い出して、気分を高めている間に帰ってきてしまったみたいだ。 「君と僕はどうやら同じ特待生クラスの様だ。Sクラスだよ」 特待生クラス?なにそれ?不味い、事前に全く調べてないが為にそんなこともわからない。 ここは恥を忍んで聞くべきだろう。 「あ、見てくれてありがと…。えっと…特待生クラスってなに?」 すると雷山はそんなことも知らないのか!と言わんばかりに目を見開いて饒舌に喋りした。
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