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「あさあさあさが来てーみんなが登校、昼昼昼昼、昼になりー、昼になったら空からヒルがふりー、みんなの血をちゅうちゅちゅう!! 夕焼け空は鮮血の色っ!! あの日の空は真っ赤な夕日っ!! 校庭には大量の死体っ!! ヒルっ!! みんなで、さぁ、ちゅうちゅっーーう!?」
「なに、一人で物騒な歌を歌ってるのよ」
放課後、教師からの用事で遅くなり、教室に戻ると校内一の変人、宮島が相棒の人形と共にラップの真似事をしていた。
「声をかけるまえに、人の頭をぶつのはとても危険っ!! 脳細胞が死ぬっ!! とってもびっくりっ!!」
宮島が抗議してくるが、私は聞き入れるつもりはない、びっくりしたのはこっちだ。放課後の人通りの少なくなった校舎に下手くそなラップが響き渡っているのはとてもじゃないけど、認知できない。
「というか、普通に喋りなさい。びっくりしたのはこっちよ。なんなのそれ?」
「宮島の歌ナンバー15 落日に命日」
「ネーミングセンスのかけらもないわね」
落日は夕暮れ時、命日は死亡した日、不謹慎きわまりない曲だった。歌詞の内容も昼になったらヒルが降ってきて、みんなの血を吸っていくというほとんど意味不明な歌詞だった。まぁ、脳内日々、電波の宮島らしいと言えば、宮島らしいけど。
「けっこう自信作なのに。ちなみに何点くらい?」
「点数つけてほしいの?」
「うん」
ニコニコと嬉しそうに宮島が頷く。
「測定不可能よ」
「おおっ!! まさに神の曲なのか? 点数がつけられないほどの名曲か?」
「いやいや、意味不明だから点数つけられない。まぁ、点数つけるなら、そうね。一点」
中途半端な点数をつけると、調子に乗りそうなので妥当な点数にしておいた。減点の対象は主に放課後の教室で人の気分を大きく害したから、あとは意味不明だから。
「あう、一点!? それってあれか!? 五点満点中とか、そうなんだろ!?」
自信作なのは嘘ではなかったらしい。眉をハの地にしながら宮島がすがりついてくる。
「残念だけど、百点満点中、一点だから」
「そんなにかっ!?」
ガーンと落ち込む宮島を放置して、私は帰るための準備を進めていく、今日も変わらずに私の小指に巻きついた赤い糸は宮島の小指と繋がっている。私にしか見えない人の繋がり、恋人同士を繋ぐ赤い糸は、なぜか女の子の宮島に繋がっている理由はいまだにわからない。
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