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初めは、
あたしが人前で泣いたりするなんて思ってもなかっただろう憲ちゃんは、
驚いたように何度もあたしの名前を呼んで、
なんとか落ち着かせようとしてたようなんだけど。
そんなのお構いなしって感じで、
あたしがあんまりワンワン泣きじゃくるもんだから、
シッカリと抱き着いたあたしの背中を、
躊躇いながらも何度も優しく撫でてくれていた。
「お前なぁ、こんなとこファンが見たら嘆くぞ…」
なんて、
いつもの偉そうな口調で、少し呆れたように言いながら。
ここぞとばかりに、
泣きじゃくるあたしには聞こえてないと思って
「ホントにお前って、手のかかる女だよな……」
どさくさまぎれにそんなことまでボソッと言ってたし。
泣きだして止まらなくなったっていっても、
あたし、それくらいはちゃんと聞こえてたんだから……。
まぁ、スッゴく優しく背中を撫でてくれたお陰で……
早く落ち着くことができたから
文句は言わないでいてあげたけど……。
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