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気づけば、
近くの駐車スペースに車を停めて、
後部座席に移動した憲ちゃんが、
あたしのことを心配そうに覗きこんでいた。
「おい、リカ。しっかりしろっ。おい」
ボーッとしたまんまのあたしの肩を、
憲ちゃんに両手で掴まれ揺すられて、
「……あ、うん」
そう返すのがやっとだった。
「『あ、うん』てお前、大丈夫なのかよ?
もしかして、お姉さん…」
憲ちゃんの言葉を聞いた途端、
さっき颯介さんから聞いたことが、
夢なんかじゃなくて、
現実なんだって思ったら
「憲ちゃん、姉さん、死んじゃったってっ……。
ヤダ、姉さんがいなくなっちゃったなんて、ヤダー」
「リカ、落ち着けって」
自分の中で処理しきれない感情が、
次から次へと溢れてしまって、
まるで小さな子どものように、
憲ちゃんに抱きついて泣きじゃくった。
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