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終始、
あたしの背中を優しく撫でてくれて、
聞き役に徹してくれた憲ちゃんのお陰で、
情けないことばっかり言いながら泣いてたあたしも、ようやく落ち着いてきた。
けど、
こんなに泣いたのっていつ振りだろう……ってくらい一杯泣いたもんだから、
泣き疲れたあたしは、大きく息を吸ったり吐いたりを繰り返し、
憲ちゃんの肩に顔を埋めて放心してしまってた。
そんなあたしに、
「お前、お姉さんのとこ行くんだろ?」
相変わらずの偉そうな口調で聞かれて、
「……うん」
ボーっとしながらも、
掠れた声でなんとか答えることができた。
そんなあたしを、
自分の身体からゆっくり離した憲ちゃんは、
あたしの背中をシートにそっと戻したかと思うと、
「ほら、これで顔なんとかしろ」
変わらず偉そうな口調で言いながら、
ジャケットのポケットからハンカチを取り出して、
ソッとあたしの手に握らせた。
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