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姉さんが亡くなってから、
早いものでニ月が過ぎようとしている。
姉さんが亡くなる前はあんなに忙しかった仕事量も今じゃすっかり落ち着いて、
少し物足りない、なんて我が儘なことを思ってしまう程の穏やかな日常を送っている。
姉さんのことがあったとはいえ、
海翔を盗られてあんなに悔しくてしょうがなかった筈なのに、
姉さんの葬儀で海翔と顔を合わせた時には、前ほどの感情は湧かなかった。
だから、
誤解とはいえ、
あの子に酷いことを言ってしまったことに対して、
若干の後ろめたさを感じてたあたしが、直接あの子に謝りに行ったんだから、
本当に自分でも驚いてしまう……。
とはいえ、
長年、
海翔の傍に居たあたしとしては、
あたしにあんなこと言われたくらいで、
泣いて逃げるような女に負けたなんて認めたくはないから、
最後に一言だけガツンとあの子には忠告してあげたんだけど……、
それくらいで許してあげたんだから感謝して欲しいくらいだわ……。
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