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アカシヤ町には市場がある。市場を開く商人のために作られた食堂は今日もにぎわいをみせていた。
二人は昼食にタロット世界の名物クラブの尻尾のソテーを食べた。クラブは海に住んでいる小さなヤドカリだ。貝殻を取り除いたあとに出てくる身体の部分をバターと塩で丁寧に焼いたものだ。山間にある街では特に珍しい食べ物で、味はまろやかで濃厚だ。バターの味が染みていて癖になる。付け合わせにはサンドイッチと野菜ジュースと決まっている。店の人気は高く昼食時には満杯になる。今回はクラウンが店を予約してくれたのだ。二人は暇さえあれば店を探して昼食を供にする仲であった。
食事を終え、帰り道の雜林でいきなり雷が轟いた。驚いたエルルはクラウンにしがみつく。雷は雜林の樹を一本炭にして止んだ。
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