プロローグ

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 エルルには両親は居ない。ドラゴン暴走の時に死んでしまった。だから城に使えてメイドをしている。生活には困らなかったがまさかワールから勅命が来るなどとは考えもしなかった。  エルルが帰り道を歩いて空を見上げると青いはずの空は歪んで見えた。  箱庭(グリモアール)から眺める空より近くにある。その圧迫感が不安の象徴であることをにエルルは気が付いていない。  クラウンは相変わらず歩調を合わせてくれている。  ドラゴンに手首を噛まれたときに助けてくれたのが彼なのだ。エルルが城で働けるようにワールに取り次いだのも彼だった。それ以来、クラウンとエルルはこうして付き合うようになった。
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