プロローグ

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 勅命に戸惑いを隠せないまま城に戻る。その日は明日の段取りだけを決めてクラウンは帰っていった。  ひとりになったエルルは両親が残してくれたオルゴールの蓋を開いた。  オルゴールから流れる旋律は砂漠の歌姫が歌うという旅の曲だ。  エルルは曲を聞きながら着ていたメイド服を脱ぎ捨てる。  明日からはメイドではなくなる。  明日にはこの部屋からでなければならない。  箱庭(グリモアール)をもう一度見たかったがそれは叶わない願いであった。
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