第1章

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『一目惚れしました。付き合ってください』 それが彼女が最初に言った言葉だった。同じ大学に通ってはいたけれど、僕はあまり女の子と仲良くするよりも、男友達とガヤガヤ騒ぐほうが好きだったため、その要求にはかなり困った。 綺麗な子だとは思った。大学でも男友達と、どの子が可愛いとか、この子とつきあってみたい、または聞けば恥ずかしくなるような猥談の中にも彼女があがることがたびたびあった。何度か顔を合わせたこともあったけれど、話したことは一度もない相手からの交際に、僕は曖昧な二つ返事を返した。たぶん、これが間違いの始まり、ここでしっかりと断っていれば、きっと僕はこんなふうにはならなかった。 朝、僕は片目の疼きで強制的に目覚めさせられ、目の前に彼女の瞳がジーッと僕の瞳を見つめている。ほんの少しで触れ合ってキスしてしまいそうな距離だが、恋人同士のような甘い雰囲気にはならないというか、とても痛い。瞼を強引に押し上げられ、眼球の表面が渇いてとても痛い。まばたきをしたいけれど、彼女の手が僕の瞼を抑えつけているためまばたきができない。抵抗しようにも、僕の身体はベッドの支柱に手錠で繋がれているため身動きがとれない。 触れ合う身体、荒い息が僕の眼球にかかる。ちょっと前までなら喜んだ状態でも、今となっては今すぐやめてほしかった。いったい何日たったのかもわからないほど時間が過ぎた。何日、いや、何週間、同じ姿勢でいるせいで僕の手足は枯れ木のように痩せ細り、力も入らない。 「おはようございます」 目覚めた僕に、僕の『眼球』に向かって、彼女は挨拶した。何分も瞼ができないため、目尻に涙が溜まっていく。マズイ、これはとてもマズイ。 「あはっ!! また、泣いちゃったんですね。もう、仕方のない人ですね」 彼女が笑う、笑いながら僕の右目に自分の舌で涙を舐める。眼球に異物が侵入する不快感に僕の身体がビクッと痙攣、喉の奥から吐き気がこみ上げてくる。 気持ち悪い、何度やられたって慣れない行為。人の舌で自分の眼球から流れる涙を舐められる。喉の奥からうめき声がするが、彼女は笑うだけだ。 「嬉しいですね。良かった。ほんとに。やっぱり私の判断は間違ってなかった。よかった。ちゃんと告白して、あなたみたいな綺麗な眼球とお付き合いできるなんて私、幸せです」 彼女にとって、僕は入れ物だ。彼女が好きな眼球を入れておくための入れ物だから、彼女に
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