第1章

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とって眼球が表す、愛情表現のようなものらしい。痛がったり、涙を流したり、まばたき、そういった小さな仕草が彼女にとって眼球から送られる、求愛の行為。 僕の肉体。意志、精神、人生は、彼女が好きになった眼球を保管しておくための入れ物にすぎない。 いくら抗議したところで、彼女は聞く耳をもたない。なぜなら入れ物がいくら文句を言ったところでそんなものは戯れ言でしかないからだ。 一目惚れしました。僕を好きになったわけじゃない。僕の両目を、眼球を好きになった。一目惚れではなく、人の目に惚れた。僕の瞳を、眼球を見た瞬間に恋に落ち、 「いい、何度みても見惚れちゃいます。でも、眼球って一度、くり抜くと管理が大変なんですよね。だから、貴方は死ぬまでずーっと、私の彼氏を保管しててくださいね。そのためならなんだってしてあげますから」 ニコニコと彼女は笑う。 「へっ、ヘヘヘヘヘ、へっ、はへへへへっへへへへ、へへへへ」 僕も笑う。笑う。笑う。何度も壊れたように言葉が出てこない。 「だかれきゃ、たしゅけて」 いつか、この地獄が終わるまで、僕は生きていれるか、わからない。泣けば彼女を喜ばせてしまう、だから、僕は泣けない。 「たしゅけて、くれ……」
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