第9話

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「雛森。俺、今から出るんだけど、もし森本先生から連絡あったら知らせてくれる?今日伺うから、先生の都合のいい時間だけ聞いておいて」 「森本先生ね。了解」 神崎くんがホテルで私を待つこともなくなった。ということは、必然的にアパートに来る理由もなくなった。 彼が冷蔵庫に作り置きしていた料理やホットケーキは残りわずか。 「いってきます」 「いってらっしゃい」 その代わり。といっていいものかどうか分からないけれど、朝、出勤すると私のデスクにはプチトマトとヨーグルトドリンクが置かれていた。 日によってプチトマトは色を変え形を変え、ヨーグルトドリンクは味を変えて置かれている。 捨てるわけにもいかないから仕方なく口に運ぶけれど、いい加減食べ飽きたんじゃないか。とか、気にしたりしないのだろうか。 「……」 かと言って、料理を作りに来られても困るんだけど。
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