第9話

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「……そちらを見てもらえば理解していただけるかと」 彼が御曹司であることは部長から聞いていたんだろう。 とても分かりやすく態度を変えた奥様。 高ぶっていた感情を抑え、声を落ち着かせて、彼の手にある封筒に視線を向けた。 「見る必要が?」 「ありますよ。もちろんじゃないですか。証拠は全て揃っているんですから」 「全て」 「ええ」 皆の視線が集まる封筒を顔の横に持ってきた彼。 「本当に?」 薄く笑い、尋ねる。 「……え?」 奥様が聞き返すと同時に、その封筒は下に降ろされ、乾課長に渡された。
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