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「……なにを、おっしゃいますの?主人はそんな事ひと言も言ってませんでしたよ!?」
「言っていませんから。知っているのは本社にいる神崎家の人間と、叔父である、この会社の社長だけです」
「そんなっ」
「調査会社まで使って調べたようですが、とんだ見当違いでしたね」
「そんなデタラメなことありますかっ!」
「デタラメかどうか。もう一度お確かめ下さい」
次第に部長の奥様の口調が激しくなる一方で、冷静さを失わない神崎くんの言葉は冷ややか。
「彼女と部長が一緒に写っている写真なんて、そこには1枚もないと思いますよ」
神崎くんの腕が私の腰にまわり、引き寄せるように軽く力を入れた。
「……」
トン――。と、右半身が彼に触れる。
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