第9話

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フルネームで名前を呼ばれることなんてそうそうない。 はい。 と、声に出して返事をするよりも先に振り返り、すぐ後ろにいたその人を視界に入れた…… その時。 「っきゃ!」 バシッ!!……と、顔に何かがぶつかった。 いや、 『ぶつかった』 というよりは 『ぶつけられた』 の方が正しいかもしれない。 突然目の前に現れたその物体は、私の左顔面に痛みと衝撃を与えると、それを持っていた人の手を離れ、私とその人の間にバサッと音をたてて落ちた。
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