終章

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--朝日が眩しい。目まぐるしく動き回った一週間だったが、今になってドッと疲れが押し寄せてきた。 朝を運ぶ潮風の温もりが心地よく、このまま寝入ってしまいそうだ。 …そうそう、俺達はいま海の上にいる。 あの海賊達は屯所に突き出し、港町リガベロの人々の前で真実を洗い浚い喋らせた。おかげでゴブリンへの誤解も解け、町の人達はぜひとも事件解決のお礼がしたいというので、奴らが使っていた船を賠償金代わりに頂戴することにしたのだ。 因みに操縦はドワ西親方がやっている「建造物ならだいたい勝手が分かるわン」と、不安を煽る物言いだったが、中々どうして航海は順調に進んでいる。この様子であれば一両日中にギルド最寄の入江まで到着することだろう。 「ねぇー、リッグー」 上部甲板から上体を乗り出したフランカが見下ろしてくる。 「あのジャスパーって人、ほんとに一人で行かせちゃってよかったのー?」 ジャスパーは俺達と別れ、盗賊ギルドを滅ぼしてから合流すると意気込んでいた。 「なぁに、あいつはやると言ったらやる奴だ。いつ戻って来るかは分からねぇけどな」
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