終章

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入江に到着した途端、ドワ西親方は直ぐに船着場の着工に取り掛かった。 兎にも角にも、これでギルドは通常運転を再開できる…とはいえ、早々に客足が戻ってくるといった甘い期待は持たない方がいいだろう。 今回の事件は排他的な集団や選民思想の持ち主が起こした大々的な犯行ではなく、単に俺への逆恨みを募らせた海賊達の嫌がらせだった。 だが、あれほどまで噂が広まってしまったのは人間の奥底にある感情、未だ拭えない他種族への隔たりがあったからだ。 しかし風評被害がここまで恐ろしいとは、全く高い授業料だった。また一からやり直し、そういった覚悟でギルドの門を潜ると-- 「いらっしゃいませ!ようこそ冒険者ギルドへ!」 「そこのおねーさん!荷物運びからドラゴン退治まで、このロイス・バークが力になろう」 「聞き捨てならん!エルフはドワーフより下戸だと?試してみるか!」 「いいわよ?負けた方がここの持ちだからね!」 「依頼料の相場ってどれくらい?」 そこに広がっていたのは、雑多に種族の入り混じる、普段通りの喧騒だった…
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