終章

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「お!皆さんやっとお帰りで!」 「ゴブ谷さん…こりゃあ一体--」 まるで魔法か何かで数ヶ月後の映像を見せられている気分だ。目の前で起こっていることは大変喜ばしい筈なのだが、如何せん現実味が無く幻を見ているようで狼狽えてしまう。 「アッシら、足りない頭を絞ってどうにかマスターの恩義に応えてぇと思いやして、お客さんらに呼び込みを掛けてたんでさぁ」 「じゃあ、これ全部ゴブリンの奴らが…!」 …いや、だがそれはおかしい。そもそも客足が消えたのはゴブリン達の不審な噂が大きな要因だった。それを自分らで解決出来るなんて… 「ゴブ谷さん、一体どんな魔法を使ったんだい?」 「言ったでがしょ?呼び込みしたんでヤスよ。山の向こうまで」 !そうか、確かに海賊は海から川伝いに噂を広げていたから、山の向こうまでは行き届いてない…だが、たった二週間でここまで人を集められるのか。その疑問を口に出すより先にゴブ谷さんは答える。 「山だろうと谷だろうと、ゴブリンはどこにでも居ヤスよ」 そうだった。ゴブリンは集落で、いや…種全体で家族なんだ。家族が困っていれば彼らは一肌でも二肌でも脱いでくれる。そして彼らの集落はこのアルティナ大陸全域、その生活範囲は人間の倍!
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