終章

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あー…死ぬ。 久々の活気溢れるギルドの仕事に、フランカもエル島さんもてんやわんやの様子だった。そして俺は、執務室の机に倍になって聳える書類の山を見上げて静かに膝を付いた。 明日には休養明けの子達も帰って来るし、現金な冒険者はすぐにまた集まってくる。これで漸く元通りだな。 本日の営業を終えると、俺達はマスタールームに集まりささやかながら祝杯をあげた。 『乾杯ー!!』 皆の表情には疲れの色がくっきり表れている。特にドワ西親方なんて夜まで工事を進めていたせいで顔が真っ黒だった。エル島さんがあからさまに嫌そうな目で見てる…でも、みんな晴れやかな表情だ。 「あ、あのー、マスター…例の件なんでヤスが…」 おずおずと俺に寄ってきたゴブ谷さん。何かあったっけかな。 「辞表のことでヤス…」 「…そうだったな」 バランスの悪い手製の机にグラスを置き、正面からゴブ谷さんを見据える。座っている俺と立ったゴブ谷さんの目線は同じ高さにある。
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