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俺は一言と一緒に頭を下げる。
「すまない…」
顔を上げると、ゴブ谷さんのしゅんとした顔が映った。
「なんか、ごたごたしてるうちにどっかいっちまったみたいなんだ、辞表」
「え?」
「だからまぁ、アレだ。退職は受諾できねぇってことで、今回は諦めてくれ…正直、大盤振る舞いでボーナス払っちまったから退職金も満足に工面出来ないんだ」
勿論、そんなことはゴブ谷さんを引き留める為の言い訳だ。
「んふふー、諦めなさいなゴブ谷さん。こんな甲斐性なしの下で働いたのが運の尽きよ」
「どういう意味だそれ…」
軽く睨んだ視線をさらりとかわし、次のボトルに手を伸ばすフランカ。ってか俺まだ乾杯の一口しか飲んでねぇけど!どんなピッチで飲んでやがる…
「本当に…いいんですかねぇ」
ゴブ谷さんは俯いたまま、空のグラスを覗き込んでいる。
「アッシは要領が悪ぃから、これからも皆さん方に迷惑かけるんじゃねぇかって」
「ゴブ谷さん、そいつは違うぜ」
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