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やっと、顔を上げてくれたか。岩山を中心に三日月を三つ付けたような単調な顔がよく見える。
「俺達の留守中、ギルドを守ってくれたのはゴブ谷さんだ。それにゴブ谷さんの機転がなけりゃあ、いつもの騒がしいギルドをいの一番に拝む事は出来なかったんだ。全部ゴブ谷さんのおかげだよ」
俺が空いたグラスにボトルを傾けると、ゴブ谷さんは震える手でしっかりとグラスを掴み、カチャカチャ音を立てながら酒を注いでいく。
「アッシは…ここに必要な人間でしょうか…?」
その問いに、俺は飾ることなく正直に答える。
『ゴブ谷さんの代わりはいないよ』
掲げたグラスを伸ばすと、ゴブ谷さんのグラスに重ねる。素面で固い握手を交わすのはこっ恥ずかしいから、これがその代わり。
「…ありがとう、ごぜぇヤス」
やれやれ…ゴブ谷さんも涙もろい。
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