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なんなの?
アイツ!
少し顔いいからって!
昼間のやり取り見られてたんだ。
トラックの中の。
まさか昨夜のは見てないよね?
人がいない公園の駐車場だったし。
早くさっさと閉店業務終わらせて、警備員室行かなきゃ。
梶くんとの食事遅れちゃう。
「あ、来ましたね。」
「話って何ですか?」
「そんなに怖い顔しないで。」
警備員の男は帽子を取った。
「久しぶりだよな。柏木さん」
「え、え、え?もしかして。」
「阿部だよ。阿部 ツヨシ」
「うそー!あの、阿部くん?サッカー部の?」
「今は、ただの警備員だけどな。」
サッカー部の阿部くんと言えば、中学校の時からサッカー雑誌やテレビに出て人気者だったのに。
警備員になってるなんて。
「トラックの中でイチャイチャしてるの見えたから気をつけろよって言いたかっただけだよ。」
「そうなんだ。ありがとね。」
「まー、それもなんだけどさ。ほんとは羨ましくなってしまっただけ。中学の時、柏木さんのこと好きだったから。」
「え!うそー!」
「ほんとだよ。名簿見てさ~。まさかな~って。」
やだ、恥ずかしい。
「あの、運送会社のやつと付き合ってんの?」
「え、いや、付き合ってはない。」
「じゃあ、俺にもチャンスあるかな。」
「え。えっと~。」
最近、モテ過ぎて逆に怖い。
「俺、柏木さんを中学のときに諦めたこと後悔した。もう諦めたくないんだ。」
阿部くんはいきなりあたしを抱き寄せた。
「誰かきたら………。」
「大丈夫……。駐車場見回ってるからしばらく誰もこないよ。」
がっしりした体育会系の胸板。
トロトロしちゃう。
阿部くんの唇がゆっくり近づく。
あたしはそれを受け入れてしまった。
「ん……。ンン……。」
阿部くんはあたしを机にキスをしながらゆっくり押し倒した。
「柏木さん………。俺………。我慢できねーよ。」
「だめ………。帰ってきちゃう。」
阿部くんの手は止まらない。
ダメ………。梶くんとの約束遅れちゃう。
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