第1章

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彼にあったのは 転職してすぐ。 ショッピングモールの中の雑貨屋に転職してすぐ。 37歳にして前の会社を思い切って辞めた。 年下に教えてもらいながらの新しい職場。  覚えることだらけ。 わからないことだらけ。 右も左も 前職業とは全く違うジャンルに精神的にダメージ受けてた。 でも途中で諦めたくない。 雑貨屋で働くのは昔から憧れていた。 それに 前の職場には 元彼がいるし。 転職の理由はソレ。 「柏木さん、荷物きたから!荷受けして!」 「はっはい!」 バックルームを走るあたし。 うわ、すごい量。 あ、新作が送られてくるとか言ってたな。 しかも箱でか。 業者のお兄さんがどんどん積んでいく。 キャー間に合わない。 積むの早い えっと、どっちの伝票渡すんだっけ? あれ?納品書は? あたしがキョロキョロ慌てていると。 「クスッ………」 え? 業者のお兄さんに笑われた? 「そこの蓋についてますよ。」 「え、あ、本当だ。すみません。」 「あわてなくていーですよ。」 優しい。 それにしても背が高いな。 180センチはあるな。 作業着、かっこいい。 腕まくりしてて日焼けした腕もたくましい。 やば、好きかも。 顔は帽子目深にかぶってる。 よく見えないな~ あたしは伝票を束にして渡した。 「ありがとーございました。」 「お疲れ様です!」 チラッと見た。 その瞬間 あたしはきゅん死にするかと思った。 な、な、な、なにその笑顔。 ヤバい。 ワザとやってるの? その笑顔はワザとやってらっしゃるの? もしかしたら日本の女、全部その笑顔で落とせるんじゃない? かわいい きれい 輝いてる いや、違う。 爽やか いや。なんだ?笑顔の見本? あたしは しばらく固まってしまいました。
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