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「ほらね。」
峰さんが言った。
みんな梶くんと話したくて仕方ないんだ。
あたしだって話したい。
ずるい。
連休中は梶くんは来ない。
配達ないんだって。
またあの笑顔みたいな。
ゴールデンウイーク中、梶くんのあの笑顔を何度も思い出しながら忙しい仕事を頑張ってこなした。
明日で連休終わりか。
明後日には会えるかな~。
「こんちは。」
「え!」
梶くん!
うそ。
倉庫の片付けをしていたあたしな梶くんが寄ってきた。
「え!今日、配達あるんでしたか。」
「はい。今日は急ぎがあるから一個だけ。」
うそ。嬉しい。
あたしはならべくゆっくりサインした。
あー、このサイン書いたら行っちゃう。
「はい。」
「ど~も」
「血、血が出てる」
「あ、さっき引っ掛けてしまって。」
「これ、バンソウコ。使って。」
「あ、ありがとーございます。」
「貼りにくい場所だね。貼ってあげるよ。」
「あ、すみません。」
やった。急接近。
ユラッ
建物がいきなり揺れた。
地震?
あたしは梶くんの腕にしがみついた。
「あ、ごめんなさい。」
「結構、大きいな。」
イイニオイ
「この建物、結構揺れますね。」
やだ、離れたくない。
揺れは小さくなっていった。
あたしはゆっくり梶くんから離れた。
「あそこの段ボール落ちそうだから直した方がいいかもしれないですよ。」
梶くんが倉庫の一番上の段ボールに手を伸ばした。
「あ、ありがとーございます。」あたしはそのあとをついて行った。
身長が高いからスッと直す姿も素敵。
「うわ、おもっ」
梶くんがよろめいた。
よろめいた先にあたしがいて梶くんが段ボールごとぶつかってきた。
ガタガタ ドカッ
「いたた。」
「すみません!大丈夫ですか?」
二人して倒れ込んだ。
「中身のノートだ。重いはずだわ。」
2人して急いでノートを拾った。
ガチャ
誰か入ってきた。
ヤバい。
あたしは梶くんの腕を引っ張った。
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