第一話

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 学園が終わり、いつもなら護衛と共にすぐに帰宅する。 お父様は厳しい。放課後友達と遊ぶ自由すら認めて貰えない。 私自身の立場もあるし、何より娘が心配という親心からなのだろう。 私はそれを受け入れ、いつもならこのまま直帰する。 だがしかし今日は違った。昼休みに友達から興味を惹かれる話を聞いたのだ。 「学園を出て右にまっすぐ言った所に、ギルドがありますよね?あそこの近くの入り組んだ路地を入っていくと、凄い寂れたアクセサリー屋があるらしいのです。人が入っているのかも怪しい所らしのですが、でも売ってる物はちゃんとしてるらしいのです。中には"魔装具"もあるとか」 "魔装具"、という言葉に惹かれた。 厳しい父は昔からアクセサリーなどの装飾品を付ける事を良しとせず、私にも装飾品を着ける事を禁じた。 しかし、私だって女の子だ。人並みにお洒落したいと思う。 "魔装具"。 アクセサリーだったり、剣だったり、防具だったり。 それらに魔力を込められて作られた物が"魔装具"と呼ばれる。 例えばだけど、風属性の魔力が込められた剣があったとする。 その剣にほんの僅かでいい、魔力を込めて振う。 すると、剣から衝撃波を発生させるなんていうことも可能なのだ。 厳しい父も、魔装具ならば文句を言わないかもしれない。 この"エルフィリア学園"では、少なくない回数模擬戦が行われる。 この模擬戦での結果は、成績に大きく響くという。 もちろん、普通の筆記試験で点数を取っていれば良い成績を貰える。 私の娘として、中途半端な成績で卒業することは許さないと入学する前夜に父に言われた。 成績を上げる為に魔装具が必須、と言えば父も許してくれるかもしれない。 そして放課後。 生徒会の活動に参加していた為、陽は落ち始めている。 私は自身に付けられた護衛を何とか撒き、学園の外に出る事に成功していた。 「確か…ギルドの近くの路地を入っていくんだったよね?」 エルフィリア学園を学園を出て、右に真っ直ぐ進むとギルドがある。 そこの路地を入って行けばいいらしい。入り組んでいるらしいから、迷子にならないといいな。 ギルドまでは距離があるので、私は早歩きで歩く。
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