第二話

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「そ、そうなんですか…早起きなんですね。じゃあ、何か食べましょうか」 この宿屋は一階が酒屋となっている。 流石にこの時間はやっていないが、調理台などは好きに使っていいと事前に説明を受けている。 勿論食材などは各自で用意しなければならないが。 食材なんてものはない。買いに行くにしても、この時間空いている店があるのかも怪しい。 「一回の調理場を使っていいらしいが、俺は料理が出来ねぇ。それに食材もない。この時間でも空いている店はあるか?」 「置いてあるものはそんなに多くはないですけど、24時間お店を開けている所はいくつかありますよ。食事処ではないので、食材を買ってきてここで作るという形になりますけど…」 「お前…アリスティアは料理が出来るのか?」 「アリスでいいですよ。私は一応は出来ます」 「なら俺が買って来よう。作るのは任せるわ」 「じゃあお願いします…ってヴァイスさん?お店の場所知らないですよね?」 「よしアリス。お前買って来い。俺は二度寝する」 「ええええ!?そこ二度寝なんですか!?一緒に行くとかじゃなくて!?」 「二人も行く必要はないだろう。それともなんだ?荷物持ちが必要な位買い込むつもりだったのか?」 「それはないですけど…」 「ならいいだろう。金は渡すから早く行って来い」 「お金は要りませ…ってヴァイスさん?これ銅貨ですよね?しかも1枚ですよね?こんなのじゃ野菜一つも買えませんっ!」 「こんなのとは何だこんなのとは。俺の全財産を馬鹿にしているのか?銅貨を笑う奴は銅貨に泣くって名言を知らんのか?」 「ぜ…全財産なんですか…?もうっ一食分のお金位私が出しますから、ヴァイスさんは二度寝しててくださいっ!」 どうにも機嫌を損ねた?ようで早足で部屋から去って行くアリス。 中々に弄り甲斐のある奴だ。余り弄り過ぎてもダメなようだが。
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