第二話

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「ここが学園か。想像していたよりもずっと広いな」 現在、俺とアリスはこれから俺が通う事になるエルフィリア学園の門前に立っていた。 小規模な学園なのだろうと考えていたが、かなりの広さだ。 学園の敷地内に"牢獄"という場所がすっぽりと収まってしまうのではないか。 それだけの広さだった。 「この世界で一番大規模な学園ですからね。学園だけじゃなく敷地内には寮や模擬戦用のコロシアムまでありますから」 「模擬戦用のコロシアムねぇ…」 「はいっ。年に二回、トーナメント形式で対抗戦を開いていて、その時は色々な街から観客の方が訪れて凄い盛り上がるんですよっ!」 「対抗戦ねぇ…?一人一人やってくととんでもない時間かかんだろ。チームでも組んでやるのか?」 「そうですね、5人でチームを組んでの勝ち抜き戦です。チームは同じクラスの人としか組めませんから、最高学年の3年生が有利なように見えて、1年生や2年生が結構勝ちあがったりするので評判みたいです。対抗戦が近付くと優勝の予想とかで町の人が盛り上がるんですよっ!」 町が盛り上がるとかヴァイスにとって最悪である。 目立ちたくないのにも関わらずそんなものが開催されていたら嫌でも目立ってしまう。 手を抜いて一回戦負けをすれば目立たずに済むだろうか? 「因みに優勝したチームには色々あるみたいですよ。ギルドのランクを上げてもらえたり、成績を大きく上げてもらえたり…後は卒業後騎士団への入団が約束されるみたいです」 「そうなのか」 金でも貰えるのかと思ったらその程度か。随分しょぼいらしい。 ギルドのランクなんて実力さえあれば嫌でも上がるのだろうし、成績なんて日頃勉強していれば結果がちゃんと出る。 騎士団にはそもそも興味がないし、ヴァイスに取っては利点はほぼ無い。 そう思っていたのだが。
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