第二話

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「して、ヴァイスくん。昨日突然国王様から直々に君の転入要請が来てびっくりしたよ。どういう経緯があったのか詳しく知りたい所だが、余計な詮索はしない様に国王様に言われていてね。ただ、通う上で必要な情報が欠けているのも事実だ。最低限の質問は許してほしい」 「なんだ?初体験の年齢と経験人数でも教えてほしいのか?」 「是非とも知りたい所だが、それはまたいずれにしよう。名前と、今住んでいる所、それからご両親の事を聞きたいんだ。いいかな?」 軽く冗談を受け流された。 名前と住所、両親の事ねぇ…。 本当の事を話すわけにもいかない。適当に答えることにしよう。 「名前はマイケル・トムソン。田舎から飛び出してきた故に住んでいる場所はない。両親は既に他界。これでいいか?」 「突っ込みたい所が2か所あるんだけどいいかな?」 「なんだ」 「名前はヴァイスくんじゃないのかな?それから田舎から飛び出してきたというのはどういうことかな?」 「余計な詮索はしないんじゃなかったのか」 「余計な詮索はしてないさ。必要事項を聞いているだけなんだ」 「必要ねぇ…?名前はヴァイス・ルーサー。住所に関しては本当だ。両親が居ないから一人で暮らしていてな。田舎生活に嫌気が差して家を売り払ってこの町に出てきた。昨日町に着いたばかりでな、昨日は宿に泊まった。学園には寮があるというから3年間はそこで世話になろうと思っている」 嘘しか言ってないが、俺がこっちの世界で生きていく上ではこう言うしかなかった。 しかし国王が余計な詮索をするなと釘を刺していてくれたのは大きい。 余程滅茶苦茶な事を言わなければ、それが事実であると奴等には処理されるからな。
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