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「そうか…。しかしご両親が居ないのは大変だね。家がないというのも。もちろん寮に住んで貰って構わないよ。既に入学金や寮のお金は国王様から3年分頂いているからね」
「それはどうも」
「それで、君のクラスだが。国王様から君の話が来た時点で国王様の娘のアリスティアくんと君が知り合いである可能性を考えていたのだが、どうやらビンゴだったようだ。君はアリスティアくんと同じクラスにしておいたから、安心してくれ」
先程から触れていなかったが、国王という単語がちらほら出ていた。
俺の中で一つもしかしたらと思うことがあったが、やはり俺の思った通りで間違いないらしい。
今朝、アリスは自分が王女であることを告げた。
そして今サイというおっさんは、国王様の娘と言った。
今朝の話はどうやら、本当のことだったらしい。
「それはどうも。知り合いが居るのと居ないのとでは、多少は安心感が違うからな」
「そうだろうね。ましてや転入だったら尚更だ。でも幸い、1年生が入学してきてから日は浅い。まだクラス内でのグループは出来ていないだろう。入学を終えてすぐ転入という点で注目されるだろうが、君ならそれを利用してクラスの子達と仲良くなることくらい造作もなさそうだね」
このおっさんは多少は気が回るらしい。
ましてや、俺の態度は目上の人間に対する態度ではないのにも関わらず嫌な顔せずお咎めも無しだ。
どうやら少しは話のわかるおっさんらしい。
「さて、朝から長々とすまなかったね二人とも。後は君達の担任のギルナス先生に聞きなさい。ギルナス先生のクラスに転入する子が居ると既に告げてあるから、顔合わせをしておいて欲しい」
「そうか」
「失礼します、サイ教頭先生」
おっさんは学園生活を楽しんでくれ、と言うと着席しデスクの書類と向き合い始めた。
アリスが歩き始めたので、おそらくギルナスという奴の所に向かうのだろうと黙って後ろを付いて歩く。
ふと周囲を見渡すと、教員達の視線はヴァイスに釘づけだった。
この時期の転入生ということで注目されているのもあるだろうが、恐らくはサイに対する態度もあるのだろう。
中にはヴァイスを見ながら隣の教員と何か話している奴も居る。
礼儀がなってないとか、そんなことを話しているのだろう。
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