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「…それは本当か?どうにもお前は冗談が過ぎるようだからいまいち信じられん」
「人間、人を信じられなくなったら終わりだぜ?」
「そうさせているのはお前だがな」
ごもっともである。
「で?本当の所はどうなんだ?」
どうやら諦めてくれるつもりはないらしい。
ギムナスはどうやら、ヴァイスの力の片鱗を感じ取ったようである。
「だから本当だって言ってるだろ?村の連中と多少の喧嘩の経験はあるが…武器や魔法を使った戦闘なんてもんは一切経験ないっつの」
「それにしては、隙が無さすぎるんだよお前。一緒に居たアリスティアが隙だらけだっただけに、お前の隙の無さが目立った」
「あいつが隙だらけ過ぎて俺の隙が目立ってなかっただけだろ」
「いや。お前は完璧なまでに隙が無かった。いつ誰にどこから襲われてもいいように警戒しているかの如くな。ここは学園内の、ましてや教員が集まる職員室だ。普通の生徒なら警戒なんて全くしないだろう」
確かに俺は常に気を張っている。
"牢獄"ではギムナスの言う通りいつどこから襲われるかわからない。
隙を見せたら死ぬ、それが"牢獄"だ。
"牢獄"での経験が仇となったか…面倒な事になったもんだ。
「俺は今まで田舎暮らしだったからな。確かに村には他にも人が居たものの、その人数はたかがしれている。ここは村とは違ってこれだけの人が居て、しかもこれからここの学園の生徒になるんだっていう緊張感も持ってる。多少の警戒みたいなものはする。あんたは恐らくその警戒と俺の存在感の薄さが相まって隙が無いように感じただけじゃねぇのか」
「だがしかし、ここまでの隙の無さは…。おっと時間だ、惜しいが授業が始まるから教室に行くぞ。この続きはいつか聞かせて貰うからな」
「後で聞いたって回答は同じだけどな」
どうやら時間に救われたらしい。
しかし、隙の無さねぇ…?
平和ボケしていて隙だらけの奴等の中に一人隙のない奴が居たら目立つのも無理はないのかもしれない。
だがしかし、それをやめるつもりもない。
どうせいつかは"牢獄"に戻る事になるのだから。
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